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ドクターインタビュー

ドクターズインタビュー

新たな人生の再出発をサポート
-回復期リハビリテーション病棟の使命-

リハビリテーション科福田 亜紀

まず、先生のご経歴と今回の病棟新設に至った背景を教えてください。

 私は、日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会の専門医・指導医として、これまで主に急性期リハビリテーション医療に携わってきました。骨折や脳卒中の患者さんの診療を通じて、発症直後からの早期リハビリテーションが、その後の回復や生活の質に大きく影響することを実感してきました。

 一方、この地域では回復期リハビリテーション病床が不足しており、地域外への転院を余儀なくされる患者さんが少なくないという課題がありました。そうした中、新型コロナウイルス感染症対応を担ってきた3A病棟の役割が終了し、病院再編の機会を迎えたことから、地域ニーズを踏まえ、回復期リハビリテーション病棟を開設することになりました。

新しい病棟で、どのような医療を実現したいとお考えですか。

 私たちが目指すのは、最高水準のリハビリテーション医療です。早期リハビリテーションの有効性と安全性を世界に発信されてきた田島文博先生(和歌山県立医科大学リハビリテーション科教授、ちゅうざん病院院長)より直接ご指導を賜り、「攻めのリハビリテーション」を学んでまいりました。可能な限り早期から、適切かつ十分な負荷でリハビリテーションを開始し、急性期から回復期まで切れ目のない医療を提供することで、患者さんの能力を最大限に引き出したいと考えています。

 「住み慣れた地域で、治療からリハビリテーションまでを完結させたい」――この思いこそが、回復期リハビリテーション病棟新設の原点です。急性期治療後も、患者さんが安心して回復の過程を歩めるよう、一人ひとりに寄り添い、最大限のサポートに努めてまいります。

主にどのような患者さんを対象としていますか。

 回復期リハビリテーション病棟では、脳卒中後の麻痺や高次脳機能障害のある方、大腿骨近位部骨折などの骨折後の方、長期入院によって身体機能が低下した廃用症候群の方などを主な対象としています。

  私たちが大切にしているのは、「病気やけがを治す」ことだけでなく、「その人らしい生活を取り戻す」ことです。そのため、退院後の生活を見据え、一人ひとりの生活環境や家族背景に合わせたリハビリテーションを提供しています。住宅環境の調整や介護・福祉サービスとの連携も積極的に行い、安心して在宅生活へ戻っていただけるよう支援しています。患者さんが再び地域でその人らしく生活できることを目標に、チーム一丸となって在宅復帰を目指しています。

病棟の特徴や強みについて教えてください。

 当院の大きな特徴の一つは、リハビリテーション科専門医が医学的管理を行いながら、経験豊富な療法士と連携し、高負荷・高強度・長時間の質の高いリハビリテーションを提供している点です。また、院内に急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟の両方を有し、治療からリハビリテーションまでを院内で完結できる体制も大きな強みです。急性期から積極的にリハビリテーションを開始し、回復期、さらに退院後の在宅生活までを見据えた、切れ目のない支援を行っています。

 当院のリハビリテーション医療を支えているのが、多職種によるチーム医療です。医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医療ソーシャルワーカー(MSW)、管理栄養士、薬剤師、医療事務などが密に連携し、それぞれの専門性を活かした支援を行っています。身体機能の改善にとどまらず、栄養管理や服薬調整、住環境の整備、社会復帰までを視野に入れ、患者さん一人ひとりを支える総合的なリハビリテーションを提供しています。

最後に、回復期リハビリテーションの魅力と難しさを教えてください。

 リハビリテーション医療の最大の魅力は、患者さんが回復していく姿を間近で見られることです。適切なリハビリテーションにより、立ち上がることもできなかった患者さんが再び歩けるようになったり、言葉を発することが難しかった患者さんが笑顔で会話できるようになったりします。そうした一つひとつの変化が、医療従事者としての大きなやりがいにつながっています。

 一方で、回復期リハビリテーションは決して容易な医療ではありません。成果がすぐに見えるとは限らず、身体機能だけでなく、患者さんの心理面や生活背景にまで目を向ける必要があります。思うように体が動かず、不安やいらだちを感じる患者さんも少なくありません。

 そんなとき私は、患者さんに「リハビリは裏切らない」という言葉を必ずお伝えしています。一日一日の積み重ねこそが、確実に回復につながります。あきらめずにリハビリテーションを続けることが、何よりも大切だと考えています。患者さん、ご家族、そして医療者が一体となり、同じ目標に向かって歩むこと。それが回復期リハビリテーション医療の本質であり、私たちが大切にしている姿勢です。 

読者に向けてメッセージをお願いします。

 回復期リハビリテーションは、単に身体機能を回復させるための医療ではありません。病気やけがの治療にとどまらず、その人らしい生活を再び送れるよう支えることが、リハビリテーション医療の役割だと私たちは考えています。

 リハビリテーションに近道はありません。思うようにいかず、つらさを感じることもあるかもしれませんが、あきらめずに取り組み続けることで、回復への一歩一歩を確実に積み重ねていくことができます。その道のりを、医師だけでなく、多職種からなる医療チーム、そして地域全体で支えていきたいと考えています。

 患者さんやご家族に、「ここでリハビリを受けてよかった」「この地域で暮らし続けられてよかった」と感じていただけるよう、私たちはこれからもリハビリテーション医療の最高水準を目指し、取り組んでまいります。

インタビュー医師紹介

リハビリテーション科部長・スポーツ医学センター長

19973月三重大学医学部卒業
●日本リハビリテーション医学会専門医・指導医

●日本整形外科学会専門医・指導医

●三重大学医学部臨床教授

●日本スポーツ協会公認スポーツドクター

●日本医師会健康スポーツ医

●日本整形外科学会認定スポーツ医

●日本障がい者スポーツ協会スポーツ医

●三重県スポーツ協会スポーツ医・科学委員

●三重県医師会スポーツ医学・健康教育委員

●三重県高等学校野球連盟メディカルサポーター

主な治療疾患

①脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷、義肢装着訓練

大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の骨折、多発骨折

③外科手術または肺炎等の治療時の安静による廃用症候群

大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の神経、筋または靱帯損傷

股関節、膝関節置換術後

急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後

※文中に記載の組織名・所属・内容等は、2026年5月時点のものです。

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