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【薬剤管理課より】
第247号
平成24年9月発行
鈴鹿回生病院
薬剤管理課

糖尿病性腎症

 

今月は、糖尿病の3大合併症の1つである糖尿病性腎症についてお話したいと思います。

 
1:糖尿病性腎症とは

腎臓の主な働きは、血液中の不要なものを尿中に出すことにより、血液をきれいにすることです。その働きは、腎臓内部の細い血管の集まりで行われています。血糖値が高くなると、腎臓内部の細い血管が傷つき、血液をきれいにする働きが低下してしまいます。これが、糖尿病性腎症です。
さらに、腎臓の働きが極端に低下すると、体にとって不要なものが血液中に溜まります。このようなときは、血液中の不要なものを人工的に出し、血液をきれいにする「透析」が必要となります。現在、透析が必要となる原因の病気の第1位が、糖尿病性腎症です。

2:糖尿病性腎症の進行

糖尿病性腎症は、病状が進行するにつれて、第1期 (腎症前期)、第2期 (早期腎症期)、第3期 (顕性腎症期)、第4期 (腎不全期)、第5期 (透析療法期) の5つの病期に分類されます。 糖尿病性腎症が発症すると、糸球体ろ過量 (GFR) が低下します。糸球体ろ過量 (GFR) は、腎臓がどれだけ働いているのかを表します。例えば、正常な人の糸球体ろ過量 (GFR) は約100 mL/分ですので、糸球体ろ過量 (GFR) が60mL/分の人の腎臓は、約60%働いていると考えられます。糖尿病性腎症の発症に気付かずに治療を放置していると、糸球体ろ過量 (GFR) は急激に低下、すなわち、腎臓の働きは急激に悪化します。 また、糖尿病性腎症が発症し、腎臓の働きが低下するにつれて、尿中に出るタンパク質 (アルブミン) の量が増えます 。 糖尿病性腎症は、ほとんど自覚症状がないまま進行します。自覚症状 (倦怠感、疲労感) が現れる頃には、第4期 (腎不全期) にまで進行していることもあります。 尿検査で腎臓の働きの低下を早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

3:血糖と血圧の管理の重要性

血糖コントロール・血圧管理をしっかりと行うことで、糖尿病性腎症の発症や進行を抑えることができます。糖尿病の患者さんは、医師からの指導に従い、食事療法・運動療法、薬物療法によって、血糖コントロール・血圧管理に取り組みましょう。 特に、第2期 (早期腎症期) までは、適切な血糖コントロールおよび血圧管理により、尿中に出るタンパク質 (アルブミン) の量を減らすことができ、糖尿病性腎症の進行を抑えることができるといわれています。

 

4:薬物療法

糖尿病治療の基本は食事療法・運動療法です。食事療法を2 ~ 3ヶ月続けても血糖や血圧コントロールができないときは薬物療法が行われます。

経口血糖降下薬

血糖コントロールのために服用します。個々の糖尿病の病態に合わせた経口血糖降下薬が選択されます。

高血圧治療薬

血圧管理のために服用します。第一選択薬として、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシンU受容体拮抗薬が使われます。

●アンギオテンシン変換酵素阻害薬:

体内の血圧を上げる物質の生成を抑制して血圧を下げる薬
例:レニベース、エースコールなど

●アンギオテンシンU受容体拮抗薬

体内の血圧を上げる物質が作用するところをブロックすることにより血圧を下げる薬
例:ブロプレス、ディオバン、ミカルディス、オルメテック、アバプロなど


 

引用文献:CKDってどんな病気? (第一三共株式会社)、糖尿病治療ガイド2012-2013、 わが国の慢性透析療法の現況、今日の治療薬2012
文責:川口 奈緒美

 

 

 
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