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【臨床検査課より】
 

第64号
〜 伝染性単核球症〜  

伝染性単核球症とは、EB(Epstein-Barr)ウイルスが感染することで発症する疾患です。
EBウイルスは、3歳までに約80%の人が初感染を受けますが、多くは不顕性感染に終わります。思春期になってから初感染を起こすと、伝染性単核球症を発症しやすいと言われています。現在日本では患者の届出義務がないため正確な患者発生数は不明ですが、10〜20歳代に多く、不顕性感染者数も考慮すると、感染率は年間10万人当たり約12000人程度であると見積もられています。
一般的に唾液を介して感染し、主な感染経路は接吻であることから、「kissing disease」とも言われます。
※不顕性感染・・・感染しても明確な症状が現れないか、
きわめて軽い症状で経過すること。

●症状●

EBウイルスの潜伏期間は4〜6週間と長く、前駆症状として全身の違和感や食欲不振、悪寒が続きます。
伝染性単核球症が発症すると、 

@38℃以上の発熱
A全身のリンパ節腫脹(特に頚部のリンパ節
に多い)
B咽頭痛(咽頭炎、白苔を伴う扁桃腺腫大)
*白苔・・・口腔内にできる白い膿栓
C肝臓・脾臓の腫大
Dときに発疹(皮膚、口蓋の紅斑)

など全身性の著明な炎症反応が現れます。

上記の症状は通常1〜3ヵ月で沈静化し、治癒します。

●臨床検査●

正常リンパ球→ 異型リンパ球→

 

また、腹部超音波(エコー)検査では、約50%で脾臓の腫大、約20%で肝臓の腫大が認められ、肝門部リンパ節など全身のリンパ節が反応性に腫大します。
超音波検査上では急性肝炎の所見と類似し、鑑別困難です。頚部のリンパ節の腫大や臨床症状・血液検査の結果と総合して鑑別します。

●診断●

伝染性単核球症かどうか確定診断するには、EBウイルスの抗体を測定します。EBウイルスの抗体には、VCA抗体、EA抗体、EBNA抗体の3種類があります。抗体にはそれぞれ出現する時期が決まっており、何種類か組み合わせて検査することにより、伝染性単核球症のどの病期にあるのかを診断します。

●治療と予後●

治療は基本的に安静と対症療法が主体です。通常は自己限定性で治癒までの期間は様々ですが、急性期は約2週間続くと言われています。一般的に、20%が1週間以内に学校や職場に復帰でき、50%は2週間以内に復帰できるので、予後は良好です。
また、EBウイルス感染は、伝染性単核球症以外にも、悪性リンパ腫や上咽頭癌など、様々な疾患の発症に関連があると考えられています。

 

参考文献:「病気がみえる(血液)」MEDIC MEDIA
文責:鈴鹿回生病院 臨床検査課
山口鮎子・河合香

 


 
鈴鹿回生病院 臨床検査課

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