1:はじめに
ひとは目や鼻、耳などいわゆる五感から様々な情報を得て生活をしており、80%以上は視覚からの情報です。そのため、目の病気になると日常生活においてさまざまな支障が出ます。また、目に異常が起こると全身に異常が起こることがわかっています。実際、 目に異常のある高齢者はうつ状態になりやすい傾向にあるというデータもあります。
目の病気の治療に使われる点眼薬ですが、皆さんはどのように使っていますか?正しく点眼しないと効果が発揮されなかったり、症状が悪化してしまう危険性もあります。今回は、点眼薬の正しい使い方について紹介していきます
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2:点眼薬の使い方チェックポイント
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点眼する前に手を洗っていますか?
手を洗わず点眼すると、手の雑菌が目や点眼薬についてしまいます。 |
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点眼するときに目やまつ毛に容器の先端が触れていませんか?
容器内に目の汚れが逆流し、点眼薬の中で細菌が増殖してしまう可能性が
あります。
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点眼したあと静かに目を閉じて目頭を押さえていますか?
まばたきをすると、目頭にある涙点から点眼液が流れ出てしまい効果が弱くなってしまいます。 |
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目から流れ出た点眼液を清潔なティッシュなどで拭いていますか?
拭かずに放置すると、目の周りの皮膚がかぶれる原因となります。 |
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点眼薬の説明書どおりに保管できていますか?
特に指示がない場合も、直射日光や高温の場所は避けて清潔な場所に保管しましょう。 |
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※他人の点眼薬や古くなったものは使用しないでください。 |
3:2種類以上の点眼薬を使うときの注意点
1)点眼の間隔
点眼薬を何滴も入れすぎていませんか?目には1滴分しか点眼液が入りません。5分経つとまぶたの裏にある結膜嚢から吸収されます。1つの点眼薬を使用したら5分以上あけて次の点眼薬を使用しましょう。
2)点眼薬をさす順番
点眼薬は性質によって水性、油性、懸濁性、点眼後にゲル化する点眼薬に分けられます(表1)。その性質により点眼薬をさす順番が決まるため、正しい順番で点眼しないと効果が発揮されなくなってしまうことがあります。
例)結膜炎の治療でクラビット®点眼液とフルメトロン®点眼液が処方された場合は、水溶性のクラビット®点眼液を先に点眼し、吸収されるのに時間のかかる懸濁性のフルメトロン®点眼液を後に点眼します。
水性点眼薬 |
クラビット®点眼液0.5%・1.5%:抗菌薬
ヒアレイン®点眼液0.1%・0.3%:ドライアイ治療薬
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懸濁性点眼薬
(よく振って点眼しましょう) |
カリーユニ®点眼液0.005%:老人性白内障治療薬
フルメトロン®点眼液0.1%:ステロイド性抗炎症薬
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点眼後ゲル化する点眼薬
(点眼後に目の表面に薄い膜を張る点眼薬です) |
チモプトール®XE点眼液0.25%・0.5%:緑内障治療薬
リズモン®TG点眼液0.25%・0.5%:緑内障治療薬
オフロキサシンゲル化点眼液0.3%:抗菌薬 |
眼軟膏 |
エコリシン®眼軟膏:抗菌薬
フラビタン®眼軟膏0.1%: 角膜炎、眼瞼炎治療薬
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4:正しく点眼薬を使わないと・・・
使用期限の切れた点眼薬や、点眼の際、容器の先にまつげや目ヤニがついてしまった状態のものは、雑菌が繁殖しています。そのような点眼薬を使うと、黒目の表面がはがれ、まばたきのたびに強い痛みや目の充血といった症状が起こる恐れがあります。
点眼薬が原因で新たな目の病気になることがないように正しく使用していきましょう。
気になることがあれば、医師や薬剤師に相談しましょう。
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